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上告趣意書(本人)19

 5.終わりに

 刑罰は真に罪を犯した者だけに科されねばならない。その前提として、刑事裁判では事件の実体的真実を究明することが目的になっている。被告人がしたことは一体なんだったのか、それがどのような犯罪であったのかを出来る限り正しく認識して具体的に提示することこそ裁判官に課せられた使命だった。

 本事案においてその目的は達せられただろうか。被告人の行った犯罪は具体的に提示されたろうか。何が何でも被告人を処罰せねばならぬという義務感のあまり、論理的な思考を省略して、情緒的、感情的に事実認定をした点はなかったろうか。

 被告人の過去の行動や弁解が如何に不可解に見えようとも、これを有罪の根拠にしてよいはずが無い。無意識でなされる日常行動は、第三者から見ると不合理で不可解に満ちているのが普通なのだ。本件のように突然に逮捕されて、何の資料も与えられぬままに5年前にさかのぼった過去の行動の意味を求められて、すべてを合理的に説明できるとしたら、この方がおかしい。

 一人を有罪にしようというのだから、この処罰の理由には論理的な整合性がなければならぬ。あやふやな推論の積み重ねだけで有罪理由を作り上げてはならない。

 被告人には一、二審で表れたすべての証拠を検討しても、本件有罪シナリオが描けるとは到底思えないし、処罰されることに納得いかない。

 上告審が残された最後の機会なので、被告人は祈るような気持ちで、この上告趣意書を書き上げた。どうかこの事案について、白紙の状態で事実関係をもう一度見直して、ぜひとも正義に反しない判断をしていただきたい。そして、弱者にとって、刑事裁判もまだ見捨てたものではないことを満天下に示してもらいたいと切に願う。

                                          以上

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