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上告趣意書(本人)17

第七 重大な事実誤認があって、著しく正義に反する

 1.検察の自作自演

 本事案は当初から通常の犯罪捜査とは異なっていた。

 事件発生と同時にスタートした捜査活動の結果で被告人の容疑が固まったのではなく、先ず(被告人が犯人だという)予断が形成された後に、別件逮捕という手段で見込み捜査が開始された。

 そして取り調べの経過を踏まえて、後から事件内容が作られて言ったのだ。先ず、犯人が先にあって、それから後に殺人事件シナリオが作り上げられていった点に特異性がある。

 捜査段階における被告人の供述によって殺人事件の全容が明らかになった、と検察官は主張するが、肝心の供述調書はない。従って、果たして被告人が殺人事件の供述をしていたのかどうかの客観的証拠はないのだ。

 裁判の一方に当事者である検察官が伝聞を装って証言したうえ、これが被告人の供述だというのだから、これでは事件シナリオそのものが検察官の自作自演である。

 

 2.事件の実体が分からない

 原判決が懲役20年という有期の最高刑を維持したことから見ると、本件殺人事件を悪質な金銭目的の謀殺事件に相当すると判断していることは明らかだ。

 しかし、判決文には具体的な記述がなく、むしろ犯行の計画性を否定している。そのため今もって被告人には、原判決の認定している本件犯罪がどのようなものだったのか、そのイメージが描けない。以下、判決文から引用する。

   「殺人についてみると、その原因は被告人振出の小切手が被害者の違約により不渡りとなったことにある」<一審105丁>

   「両者の財産的、感情的対立が平行線をたどり、行き着くところまで行き着いた末に、事態を一挙に解決すべく、被告人により一方的に敢行された」<一審97丁>

   「銀行停止に追い込まれ、このことから生じた両者の軋轢が原因で佐藤殺害にまで発展した」<二審72丁>

   「財産乗っ取りを目的とした計画的犯行とまでは断じ得ない」<一審106丁>

   「予め周到に計画されたものとは認められず」<二審72丁>

   「喧嘩闘争の最中に生じた偶発事件とも考えがたい」<一審97丁>

   「殺意は本件犯行場所に至ってから生じたもの」<一審97丁>

   「財産処分も、殺害前から目論んでいたとまでは言えない」<二審73丁>

   「殺害の犯行に至る動機、経緯は必ずしも明らかでない」<二審72丁>

このような判決の認定を考えれば考えるほど、ますます事件の実体が見えなくなる。

 (強盗殺人に準ずる)殺人犯として刑罰を科そうというのに、犯行動機も不明、凶器も、犯行態様も不明、犯行の前後の事情も明確でなく、犯行時刻すら不明のままだ。しかも犯行場所を城山ホテルだと認定した理由もいまひとつ分からないし、事件が具体的に提示されていない。

 このように抽象的な犯罪事実によって人を裁けるのだろうか。

 

 3.単なるこじつけ論ではないのか

 原判決の言うような、殺人に至ってもおかしくないほどの金銭的、感情的対立とは一体どのような状態を指しているのだろうか。被告人と佐藤との間に、対立関係など生じる余地のないことは前述したとおりである。

 また、計画的ではないが、偶発的でもない殺害行為というのも理解できない。一体どんな状態で犯行が成されたことになるのか。

 対立関係を一挙に解決するためというのも、佐藤を殺害すれば、何がどう解決されるのか、さっぱり見えてこない。

 佐藤と被告人が対立していたという証拠も提示されていないし、財産を狙っての犯行でもない、喧嘩によるものでもない、計画的でも、偶発的でもないという。それではこの殺人は一体どんな事件なのか。 

 判決を読んでも、事件の本質を表す部分では到底論理が整っているとも思えない。はじめから被告人を有罪にせんがために、その理由を無理やり探し出してきたこじつけ論だとしか思えないのである。

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