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上申書・30 福岡で佐藤と会った

  7. アリバイ主張(逮捕第3週)

   福岡で佐藤と会った

 私は、数日後面会に来てくれたM弁護士に、やっと記憶が戻ってきた5年前の7月下旬の私の行動をかいつまんで説明した。

 そして、25日には間違いなく佐藤と一緒に福岡にいたので、このことが証明できれば現在責められている佐藤殺害容疑が晴れるのではないか、できれば捜査当局に先回りして裏付けの証拠を確保してほしいと頼みこんだ。

 しかし、M弁護士の意見は、それだけはっきりした記憶があり、しかもそれを裏付けられるなら捜査当局に任せるのが最適だという。

 弁護士の独自調査では相手に対する強制力もないし、それに肝心の機動力が劣るので満足のゆく調査ができるとは思えない、それに警察としても、今は組織で動いているので明白な物証を握りつぶすなんてことはできやしない、と言うのである。

 20分という限られた面会時間しか与えられていなかったから、私は、ひとつひとつの裏付け調査対象を詳しく説明するわけにもいかず、弁護士との間に十分な意志疎通が図れたとはいえないが、私はこの時、弁護士の限界を感じて少々悲しくなった。

 警察のでっち上げに対する反対証拠を集めるにも結局は警察力に頼るしか方法がないというのである。

 弁護士の助言によれば、私が思い出した5年前の記憶は、すべて包み隠さずそのまま取調官に述べて、捜査当局の手によって裏付け調査をしてもらうことが最善だということだった。

 この日の取り調べで私は、刑事に対して7月25日には佐藤と福岡をドライブしたというアリバイを主張しはじめた。

 そして、私と佐藤のこの日の行動の痕跡があると思える場所を説明して、早速裏付け調査をしてくれるようにと依頼する。

 しかし、私が予想していたとおり、刑事たちはこのアリバイ主張を聞くと烈火の如く怒りはじめた。

 私が言い逃れのために作り話を供述していると決めつける。

 佐藤が25日にも生存していたとすると、いままで描いていた犯行シナリオは根本から崩れてしまうのだから、取調官が私の話に拒否反応を示すのは当然だ。

 私の福岡でのアリバイなどは、まったくあり得ないことだと頭から決めつけて、話の裏付けをするどころか、力づくで私のこの供述を撤回させようとして、取調室はまたも激しい罵声の渦に巻き込まれた。

 刑事の私に対する、供述を撤回せよという強制はすさまじいものだったが、私はどう責められても自分の真実の主張を貫いたので、刑事との対立は硬直したままで1週間ほども続いた。

 この間に私の記憶はますます鮮明になってくるのだが、取調官が私の話を信じる様子はまったく感じられなかった。

 このままでは絶対に交わりそうもない果てしない対立の平行状況下では、自由を拘束されている私の方が消耗が大きい。

 

 

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