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19.疑わしげな言動

九、佐藤失踪前後の投査官以外の者に対する言動 

 一・二審判決は、佐藤失踪後に被告人が佐藤の消息に関し不自然な態度をとっていた事実をもって、被告人と佐藤殺害の犯行との結び付きに関する情況証拠の一つであるとした。

 しかしながら、最三判昭和57年3月16日判時1038号34頁(大森勧銀事件)では、犯行後、友人や肉親に対し犯行を認めるような言動をしたことについて、一審判決がこれを積極的に評価し、検察官も真犯人である動かし難い証左である旨主張したのに対し、右最判は、安易軽率になされたものとみる余地もないではないなどとして、多義的な解釈をいれる余地があり、決定的なものとは言い得ないとしている。 

 また、最一判昭和38年9月12日刑集17巻6号661頁(松川事件再上告)も、赤間自白について 

「赤間予言その他赤間の片言隻句を採り上げて、有罪認定の極めて有力な資料と解するが如き危険をおかすことは、避けねばならないのである」

旨判示し、被告人の言動を有罪認定の積極的な資料とすることを排斥している。 

 本件においても、被告人が佐藤の所在につき述べたところは一貫性がなく、相手方、時期・状況、真摯性などに照らしてその場その場に合わせて安易軽率に述べていると解し得ること、ことさら佐藤の失踪原因を隠蔽しようとするのであれば、失踪原因について一貫性を持った、誰でも納得しうる理由を述べなけれは意味がないのに、そのような作為の跡は一切見受けられないこと、佐藤を殺害した者でなくても、佐藤の債権者的立場にある者から佐藤の所在を尋ねられれば、佐藤の失踪が一時的なものであると述べざるを得ないこと、等に照らせば、原判決の判断が判例に違背して、被告人と佐藤殺害の犯行との結び付きに関する情況証拠の評価を誤り、もって重大な事実誤認をしたことは明らかである。

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