平成三年(あ)第七〇四号
被 告 人 折 山 敏 夫
右の者に対する有印私文書偽造、同行使、公正証書原本不実記載、同行使、詐欺、殺人被告事件についての上告趣意は左記の通りである.
平成四年二月一九日
主任弁護人 湯 川 二 郎
弁 護 人 小 野 慶 二
同 環 直 弥
同 濱 田 広 道
同 辻 嶋 彰
同 由 岐 和 広
同 城 加 武 彦
同 桑 原 育 朗
同 石 部 奈々子
最高裁判所第二小法廷 御中
目 次
第一 憲法違反
一、予断に基づいた不公平な裁判 (簑法三七条一項違反)
二、事実誤認を認めながら一審判決を破棄しなかった違憲違法(憲法三一条違反)
1.憲法三七条二項違反
2.憲法三八条一項違反
四、別件逮捕勾留中になされた被告人の供述を有罪認定の証拠とした違憲違法
五、自白の任意性 (憲法三八条一項、同条二項、九八条二項、国際人権B規約違反)
1.代用監獄の下における取調べの違法 .
(1)代用監獄自体の違法
(2)代用監獄下での取調べ自体の違法
2.被告人の自白に任意性はない
(1)取調べの実態
(2)原判決の検討
(3)取調過程の可視化
一、はじめに
1.原判決の認定した事実には客観的事実として確定できる部分が何もない
2. 犯罪事実の非合理性
二、原判決の証拠構造
―被告人は信用できない自白により有罪とされた
四、証拠上明らかな事実についての説明の欠落
1.佐藤の死体の外陰部切除
2. 佐藤の衣類を脱がせたこと
3. 佐藤の死体の足首の緊縛
① 被告人が佐藤を訪ねて福岡へ行った理由
② 佐藤殺害の理由・動機
③ 佐藤殺害態様
④ 損傷部から血は流れたのか
⑤ 佐藤の死体の処置
⑥ 段ボール箱の購入
⑦ 死件の緊縛
⑧ 死体の衣類を脱がせた
⑨ ホテルのロビーを通っての死体の搬出
⑬ 死体を遭棄するのに高速道路を利用した
⑪ 死体遺棄現場
⑫ 死体遺棄方法
⑬ 死体の外陰部切除
⑭ 衣類等の遺棄
1. 佐藤の死体遭乗場所は「秘密」の暴露か
(1)原判決は何をもって「秘密」の供述であるとしたか
――八月二四日までの捜査の状況
①原判決の認定した捜査の進展状況
②原判決の認定からもれた捜査の進展状況
a 八月二三日の佐々木検事の取調べは何時からなされたか
b 地図上の特定は八月二三日に初めてなされたのか
c 八月二三日付現場図面 (一審乙四〇)は同日に作成されたのか
d 八月二三日の裏付捜査はどこまでなされたのか
e 二万五千分の一の地図の購入
f 八月二四日の佐々木検事の取調べ (総論)
g 八月二四日付地図 (一審乙四二 )
h 八月二四日付現場図面 (一審乙四一)
. i 現場の警察署・駄在所に架電した際の状況
2. 博多城山ホテルのべツドの血痕とメモと五千円札は秘密の暴露か
(1)原判決の判示
(2)被告人の供述したホテル・血痕・メモ・五千円紙幣は捜査の結果客観的事実であると確認されたのか
① 被告人の供述したホテルは博多城山ホテルか
② 血痕・メモ・五千円札は確認されたか
(3)メモと五千円札の存在は捜査官は知り得なかったのか
①メモと五千円札の供述は八月二九日になされたのか
②矢野からの事情聴取は何時なされたのか
1.自白と否認認の交錯
2.否認期における佐藤の行方に関する供述の変遷
(1)原判決の検討
(2)変遷の理由
3.自白期における犯行場所・凶器・犯行態様に関する供述
(1)原判決の検討
(2)変遷の理由―八月二九日までの捜査の状況
(3)九月一日までの捜査の状況
(4)九月一二日までの捜査の状況
5.自白期における佐藤の死体緊縛に関する供述の変遷
6.自白期における段ボール箱に関する供述の変遷
7.全体としての供述についての検討
八、自白の経過
1.自白の時期
2.初期自白の内容
3.自白と否認の交錯
4.自白の誘因・契機―捜査官側の要因
5.警察官調書と検察官調書および調書の作成の有無
(1)八月二九日の自白時の被告人の態度
―八月二九日の取調べの状況
(2)九月一日の自白時の被告人の態度
(3)九月一二日の自白時の被告人の態度
7.体験供述 一
1.財産処分と佐藤殺害の関係
2.佐藤と被告人の共同事業の成立